- 2026年9月13日
秋に久しぶりに運動したら咳が止まらない|品川の内科で調べる運動誘発性気管支攣縮
「運動不足だったから息が上がっただけ」と思いがちですが、運動後に咳・息苦しさ・喘鳴(ゼーゼー)が続く場合は、「運動誘発性気管支攣縮(EIB)」という状態が起きている可能性があります。喘息の診断を受けていない方でも起こることがあり、適切に評価することで対処法が見つかります。
運動誘発性気管支攣縮(EIB)とは何か

運動誘発性気管支攣縮(Exercise-Induced Bronchoconstriction:EIB)とは、運動中または運動後に気道が一時的に収縮して狭くなる状態です。気道が狭くなることで、息苦しさ・咳・喘鳴・胸の締め付け感といった症状が現れます。
症状は運動終了後5〜10分をピークに、多くの場合30〜60分以内に自然に回復します。ただし、繰り返す場合や症状が強い場合は、適切な評価と対処が必要です。
EIBは以下のような方に起きやすいとされています。
- 喘息の診断を受けている・または以前に診断されたことがある方
- アレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎など他のアレルギー疾患がある方
- しばらく運動をしていなかったが急に激しい運動をした方
- 乾燥した冷たい空気の中で運動した方
- 花粉・PM2.5が多い日に屋外で運動した方
なぜ運動で気道が収縮するのか
運動中は呼吸が速く・深くなり、口呼吸になりやすくなります。普段は鼻が担っている「空気を温めて加湿する」機能が追いつかなくなり、乾燥した冷たい空気が気道に直接入り込みます。
この乾燥・冷却の刺激が気道の粘膜を刺激し、気道を取り巻く平滑筋が収縮して気道が狭くなります。気道に慢性的な炎症がある方(喘息・アレルギー体質の方)ではこの反応が特に起きやすく、少ない刺激でも症状が出やすい状態になっています。
お盆の時期は気温が高い一方で、急な夕立・気温の変化が起きやすく、気道への刺激が重なりやすい季節でもあります。また、長期間運動をしていなかったあとに急に激しい運動をすると、体が慣れていない分だけ気道への負担が大きくなります。
「運動不足のせい」との違い
運動後の息切れは誰でも起こりますが、EIBによる症状はいくつかの点で通常の息切れとは異なります。
通常の運動後の息切れ
運動中に息が上がり、運動をやめると数分以内に回復する。咳・喘鳴・胸の締め付けは伴わない。
EIBによる症状
運動終了後5〜10分から症状がピークになる。咳・喘鳴・胸の締め付け感を伴う。回復まで30〜60分かかることがある。同じ運動量でも日によって症状の出方が違う。
「運動をやめたのに咳が続く」「胸がゼーゼーする」という場合は、単なる息切れではなくEIBの可能性があります。
放置するとどうなるのか
EIBを繰り返しながら適切な評価を受けないでいると、以下のような影響が出ることがあります。
運動を避けるようになる
「運動すると苦しくなる」という経験から、運動そのものを避けるようになります。運動習慣がなくなると体力・筋力が低下し、さらに少ない運動量でも症状が出やすくなるという悪循環に陥りやすくなります。
喘息の発見が遅れる
EIBは喘息の初期症状として現れることがあります。「運動後の咳だから大丈夫」と放置していると、喘息の診断・治療開始が遅れるケースがあります。
気道炎症が続く
EIBが繰り返されることで気道の炎症が持続し、気道リモデリングが進むリスクがあります。
呼吸器内科を受診するとどうなるのか

問診・症状の確認
どんな運動をしたときに・どんな症状が・いつから出るかを確認します。アレルギー歴・喘息の既往・花粉症の有無なども重要な情報です。
スパイロメトリー(呼吸機能検査)
安静時の気道の状態を評価します。EIBは安静時には正常値を示すことが多いため、運動負荷後の変化を確認することが診断に重要です。
FeNO(呼気NO検査)
気道に好酸球性の炎症(タイプ2炎症)があるかどうかを確認します。FeNOが高値の場合は、喘息による気道炎症が背景にある可能性が高まります。
治療・対処法の提案
EIBと診断された場合、運動前の発作止め薬の予防的使用・吸入ステロイドによる気道炎症のコントロール・ウォームアップの方法など、具体的な対処法を提案します。EIBがあっても適切な対処で運動を続けることは可能です。
東京品川フロントクリニックで対応できること
- スパイロメトリー(呼吸機能検査):気道の状態を当日評価
- FeNO(呼気NO検査):気道炎症のタイプを確認
- 内科・呼吸器専門外来:EIBの評価から喘息の診断・治療まで一体で対応
- 生活習慣指導:運動の種類・強度・ウォームアップ方法のアドバイス
「運動後の咳が気になっているが、受診するほどでもないかと思っていた」という方も、お気軽にご相談ください。
受診の目安・タイミング
こんな症状があれば受診をお勧めします
・運動後に咳・喘鳴・胸の締め付けが出る
・運動をやめてからも30分以上症状が続く
・子どもが体育の授業や運動後に咳き込む
・喘息と診断されていないが、運動後だけ症状が出る
・運動が怖くて避けるようになってきた
よくある質問
運動後の咳は喘息ですか?
必ずしも喘息とは限りませんが、運動後に咳・喘鳴・胸の締め付けが繰り返し出る場合は運動誘発性気管支攣縮(EIB)の可能性があります。EIBは喘息の方に多く見られますが、喘息の診断がない方にも起こります。まずはスパイロメトリーやFeNO検査で一般的な喘息なのかどうかを評価できます。
EIBがあっても運動を続けられますか?
適切な対処をすることで運動を続けることは可能です。運動前の十分なウォームアップ・必要に応じた発作止め薬の予防的使用・気道炎症のコントロールなどで、症状を抑えながら運動習慣を維持できます。まずは受診して現状を評価してください。
子どもが運動後に咳き込みます。受診すべきですか?
お子さんの運動後の咳が続く場合は受診をお勧めします。小児の喘息はEIBとして最初に現れるケースがあります。早めに評価することで、体育の授業や運動を安心して続けられる対処法を見つけることができます。品川院では12歳以上の患者様がご受診いただけます。
品川で運動後の咳・息苦しさを診てもらえますか?
東京品川フロントクリニックでは、内科・呼吸器専門外来でEIBの評価に対応しています。スパイロメトリー・FeNO検査を当日実施できます。品川駅港南口から徒歩30秒です。

執筆者情報
大谷 真理子(おおたに まりこ)
医療法人社団南州会 東京品川フロントクリニック院長 / 医学博士
【保有資格】
医学博士
日本内科学会認定内科医
日本呼吸器学会 呼吸器専門医
日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医
井上 哲兵(いのうえ てっぺい)医師
医療法人社団南州会 フロントクリニックグループ 理事長 / 医学博士
2019年4月に医療法人社団南州会 理事長に就任。
同年8月に三浦メディカルクリニックを開院し、以降も以下のクリニックを展開。
医療法人社団南州会 フロントクリニックグループ(1980年創業)
横浜フロントクリニック(2024年5月開院)
東京品川フロントクリニック(2026年1月開院)
自由が丘フロントクリニック(2026年10月開院予定)
新宿区分院(2027年12月開院予定)
三浦メディカルクリニック
【保有資格・所属学会】
緩和ケア研修会修了医
参考資料
- 日本アレルギー学会『喘息予防・管理ガイドライン2024』
- Global Initiative for Asthma (GINA) Report 2024
- 独立行政法人環境再生保全機構「運動と喘息」