• 2026年8月29日

秋に血圧が上がりやすい理由を品川の内科医が解説

血圧には季節変動があります。気温が高い夏に下がり、気温が下がるとともに上がっていくのが一般的なパターンです。問題は、夏に合わせて調整した治療内容のまま秋を迎えてしまうと、気づかないうちに血圧が目標値を大きく超えてしまうことがある点です。

この記事では、秋に血圧が上がる仕組みと、この時期に確認しておきたいことを解説します。

血圧の季節変動と夏に降圧薬を減らした場合のリスク

気温低下による血管の収縮

体は熱を逃がさないように、寒さを感じると皮膚に近い血管を収縮させます。血管が細くなれば同じ量の血液を送るのにより高い圧力が必要になり、血圧が上がります。夏に血管が広がって血圧が下がるのと、ちょうど逆の反応です。

汗が減り、体内の水分量が戻る

夏は大量の発汗によって体内の水分・塩分が失われ、循環する血液量が減っていました。気温が下がって発汗が減ると血液量が元に戻り、血圧を押し上げる方向に働きます。

塩分摂取量が増えやすい

暑さで食欲が落ちていた夏に比べ、秋は食事量が戻ります。味が濃い鍋物や汁物、加工食品を口にする機会が増えることで、知らないうちに塩分摂取量が増えているケースは少なくありません。寒いと濃い味を好む傾向があるのです。

自律神経のバランス変化

朝晩と日中の寒暖差が大きくなると、体温を保つために交感神経が優位になりやすくなります。交感神経は血圧を上げる方向に働くため、寒暖差の大きい日は血圧が変動しやすくなります。

夏に血圧が下がり、ふらつきなどの症状があったために降圧薬を減量した方は少なくありません。それ自体は適切な対応ですが、その調整を秋以降もそのままにしていると、血圧が目標値を超えたまま数か月が経過することになります。

高血圧が怖いのは、血圧が高いこと自体では自覚症状がほとんど出ない点です。頭痛やめまいを感じるほど上がっていなくても、血管には負担がかかり続けます。「特に何ともないから大丈夫」という判断が、もっとも危険です。

また、自己判断で降圧薬を中止・減量することは避けてください。急にやめると血圧が反動で急上昇することがあり、脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めます。調整が必要な場合は必ず医師に相談してください。

心筋梗塞や脳卒中といった心血管イベントは、冬に多く発生することが知られています。気温の低下による血圧上昇と血管の収縮が背景にあります。

入浴時のヒートショックが問題になるのも冬ですが、そのリスクの土台は秋のうちの血圧コントロールで決まる部分があります。冬に入ってから慌てて調整するより、気温が下がりきる前のこの時期に治療を整えておくほうが安全です。

降圧薬は効果が安定するまでに数週間かかるものが多く、調整にも時間が必要です。9月から10月にかけて一度受診しておくことには意味があります。

家庭血圧の正しい測り方

季節変動をとらえるには、家庭での測定が欠かせません。診察室で測る血圧は緊張の影響を受けやすく、その一点だけでは季節による変化を追えないためです。

測るタイミング

朝は起床後1時間以内、排尿を済ませ、朝食と服薬の前に測ります。晩は就寝前です。朝晩それぞれ、静かに1〜2分座って落ち着いてから測定してください。

測り方

背もたれのある椅子に座り、足を組まずに床につけます。カフ(腕帯)を心臓の高さに合わせることが重要です。腕を机の上に置くと自然にその高さになります。測定中は会話をしないでください。

記録の仕方

数値が高く出た日だけを記録したり、逆に高い日を除いて記録したりすると、正確な判断ができなくなります。測った値はそのまま記録してください。手帳でもアプリでも構いません。受診時に持参いただくと、季節変動を含めた評価ができます。

目安となる数値

家庭血圧では135/85mmHg以上、診察室血圧では140/90mmHg以上が高血圧と診断される基準です。すでに治療中の方の目標値は、年齢や合併症によって個別に設定されます。日本高血圧学会のガイドラインは2025年に改訂されており、目標値の考え方が以前と変わっている部分があります。ご自身の目標値は主治医にご確認ください。

朝晩の冷え対策

血圧が上がりやすいのは朝の起床直後です。寝室が冷え込む時期になったら、起床前に暖房のタイマーをセットする、羽織るものを枕元に置いておくといった対策が有効です。急に寒い場所へ移動しないことが基本になります。

塩分は「気づかない分」を減らす

調味料を減らすより、汁物を残す、加工食品や外食の頻度を見直すほうが減塩効果は大きいことがあります。麺類のスープを飲み干さないだけでも、1食あたり2〜3グラムの差が出ます。

水分補給を続ける

涼しくなると水分摂取量が減りがちですが、脱水は血液を濃くして血栓ができやすい状態を招きます。夏ほどの量は必要ありませんが、こまめな補給は続けてください。心不全や腎疾患で水分制限がある方は、主治医の指示に従ってください。

運動を再開するときは段階的に

過ごしやすい季節になり運動を再開する方が増えますが、血圧が高い状態での急な高強度の運動は負担になります。まずはウォーキングなどの有酸素運動から始め、息が上がりすぎない強度を保ってください。

  • 血圧管理・降圧薬の調整:季節変動を踏まえた薬の量・種類の見直し
  • 家庭血圧記録の評価:ご持参いただいた記録をもとに治療方針を相談
  • 血液検査:腎機能・電解質・血糖・脂質などを当日確認
  • 生活習慣病の一体管理:糖尿病・脂質異常症・高尿酸血症との併存管理に対応
  • 睡眠時無呼吸症候群の評価:降圧薬が効きにくい背景にSASが隠れているケースにも対応

品川駅港南口から徒歩30秒という立地から、お仕事の前後に立ち寄っていただけます。継続的な通院が必要な生活習慣病では、通いやすさが治療を続けられるかどうかを左右します。

こんな方はご相談ください
・夏に降圧薬を減らしたまま調整していない
・9月に入って家庭血圧が上がってきた
・家庭血圧が135/85mmHgを超える日が続いている
・健康診断で血圧を指摘されたが受診していない
・血圧の薬を飲んでいるが下がりにくい
・しばらく定期受診をしていない

大谷 真理子(おおたに まりこ)

医療法人社団南州会 東京品川フロントクリニック院長 / 医学博士
【保有資格】
医学博士
日本内科学会認定内科医
日本呼吸器学会 呼吸器専門医
日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医


井上 哲兵(いのうえ てっぺい)医師

医療法人社団南州会 フロントクリニックグループ 理事長 / 医学博士
2019年4月に医療法人社団南州会 理事長に就任。
同年8月に三浦メディカルクリニックを開院し、以降も以下のクリニックを展開。
医療法人社団南州会 フロントクリニックグループ(1980年創業)
横浜フロントクリニック(2024年5月開院)
東京品川フロントクリニック(2026年1月開院)
自由が丘フロントクリニック(2026年10月開院予定)
新宿区分院(2027年12月開院予定)
三浦メディカルクリニック

【保有資格】
医学博士
日本内科学会認定内科医
日本呼吸器学会 呼吸器専門医

夏に減らした降圧薬は、秋に戻したほうがいいですか?

家庭血圧の推移を見ながら医師が判断します。自己判断での増減は避けてください。夏に減量した方は、定期受診時に、記録をもとに医師と相談しながら調整することをおすすめします。

家庭血圧はいつ測るのが正しいですか?

朝は起床後1時間以内、排尿後、朝食と服薬の前に測ります。晩は就寝前です。1〜2分静かに座ってから、カフを心臓の高さに合わせて測定してください。高く出た日も低く出た日もそのまま記録することが大切です。

血圧が高くても症状がありません。治療は必要ですか?

高血圧は自覚症状がほとんど出ないまま血管に負担をかけ続けるため、症状の有無で判断することはできません。放置すると脳卒中・心筋梗塞・腎機能低下のリスクが高まります。健診で指摘された方は一度ご相談ください。

品川で高血圧の管理ができる内科はありますか?

東京品川フロントクリニックは品川駅港南口から徒歩30秒にあり、高血圧をはじめとする生活習慣病の継続管理に対応しています。糖尿病・脂質異常症との一体管理、血液検査も当日実施できます。WEB予約またはLINEでご予約ください。

参考資料

  • 日本高血圧学会『高血圧管理・治療ガイドライン2025』
  • 厚生労働省「e-ヘルスネット 高血圧」
  • 国立循環器病研究センター「高血圧について」
東京品川フロントクリニック 03-6456-5040 ホームページ