- 2026年6月19日
- 2026年6月20日
喘息薬の吸入後のうがいは必要?

喘息やCOPDの吸入薬を処方されたときに、クリニックや薬局で「吸入したあとは、うがいをしてください」と説明されたことがある方は多いと思います。
一方で、毎日忙しい中で吸入を続けていると、
「うがいって本当に必要なの?」
「忘れたら危ない?」
「外出先でうがいできない時はどうすればいい?」
と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、吸入ステロイドが含まれる喘息薬を使ったあとは、うがいが必須となります。理由はうがいをしっかり行えば、吸入ステロイドの副作用のリスクが少なくなるからです。吸入薬の素晴らしいメリットをリスクを減らして享受するにはうがいが絶対的に必要なのです。
吸入後にうがいが必要な2つの理由

喘息やCOPDの治療でよく使われる薬に、吸入ステロイド薬があります。
吸入ステロイドは、気道の炎症を抑えるための非常に重要な薬です。その炎症を抑える中心的な治療が吸入ステロイドです。
ただし、吸入薬は肺や気管支に届く一方で、薬の一部が口の中や喉にも残ります。
この口や喉に残った薬が原因で、副作用が起こることがあります。代表的なものは、口腔内カンジダ症と声がれです。
「口腔内カンジダ症」とは、口の中にカンジダという真菌が増えてしまう状態です。口の中に白い苔のようなものが付く、ヒリヒリする、味覚が変わる、口の中が荒れるといった症状が出ることがあります。
もう一つが、「声がれ」です。吸入薬が喉や声帯周囲に残ることで、声がかすれる、話しづらい、喉に違和感があるといった症状が出ることがあります。
うがいが特に大切な吸入薬
特にうがいが大切なのは、吸入ステロイドを含む薬です。
喘息でよく使われる吸入薬には、吸入ステロイド単剤や、気管支拡張薬と一緒になった合剤があります。
一方で、気管支拡張薬のみの吸入薬では、吸入ステロイドによる口腔カンジダのリスクはなくうがいの必要性はありません。自身の使っている吸入薬がうがいが必要かどうか分からなければ医師や薬剤師に確認が必要ですが、分からない場合はとりあえずうがいを行なっておくと間違いはありません。
副作用の頻度と、その対策は?
当院で処方することが多いテリルジーでは、国際的な臨床試験(IMPACT試験)においては声がれ0.7〜1.0%、口腔カンジダ症0.5%の発生率であり稀な副作用ではありますがこれは、吸入後にしっかりとうがいをした結果と考えてください。うがいを怠るともっと高い数字となる事は容易に想像がつきますよね。
ちなみに、副作用かも?と思ったら、自分でなんとかしようとしないで、早めにかかりつけ医師へ相談してください。
正しいうがいの方法
基本は、水で口をすすぎ、吐き出すことです。可能であれば、口をゆすぐだけでなく、喉の奥も軽くガラガラうがいをするとよいでしょう。喘息学会などではクチュクチュ・ガラガラをそれぞれ3回ずつ行うと良いとしています。
うがいができない時の対処法
外出先や職場などで、すぐにうがいができないこともあります。
その場合は、水を飲む、食事の前に吸入する、といった方法も選択肢になります。
実際に、吸入ステロイド使用後の副作用に対して、吸入後すぐの食事が症状改善に役立ったという報告もあります。 (Lee MK, et al. Tuberc Respir Dis (Seoul). 2012; 73: 93-9.)
ただし、基本はうがい、できない時は、代わりの方法でできるだけ口の中に薬を残さない、という考え方が原則となります。
まとめ
喘息薬の吸入後のうがいは、特に吸入ステロイドを含む薬で重要です。
うがいの目的は、口や喉に残った余分な薬を取り除き、口腔内カンジダ症や声がれなどの副作用を減らすことです。毎日の積み重ねで副作用の出やすさは変わります。
喘息の吸入薬は、症状がある時だけでなく、気道の炎症を安定させるために継続することが大切です。吸入後のうがいを習慣にして、薬の効果をしっかり活かしながら、できるだけ副作用を少なく治療を続けていきましょう。
Q and A
Q1:副作用のリスクがあるので吸入以外の薬で喘息やCOPDはコントロールできますか?
喘息において吸入ステロイドを超える薬はありません。吸入ステロイドなしでの治療は、喘息の重症化を抑制することができず、ガイドライン上も推奨されておりません。副作用をなるべく軽減するようにうがいをしっかりと行って毎日、吸入を続けることが必要です。もしも副作用が気になるようでしたら、かかりつけ医と相談して声枯れなどが少ない薬剤への変更を行ってください。決して自己中断をしないようにしましょう。
佐藤 賢弥(さとう けんや)
医療法人社団南州会 東京品川フロントクリニック 呼吸器内科医師
【保有資格】
日本内科学会 認定内科医
日本呼吸器学会 呼吸器専門医
日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医
井上 哲兵(いのうえ てっぺい)
医療法人社団南州会 フロントクリニックグループ 理事長 / 医学博士
2019年4月に医療法人社団南州会 理事長に就任。
同年8月に三浦メディカルクリニックを開院し、以降も以下のクリニックを展開。
医療法人社団南州会 フロントクリニックグループ(1980年創業)
横浜フロントクリニック(2024年5月開院)
東京品川フロントクリニック(2026年1月開院)
自由が丘フロントクリニック(2026年10月開院予定)
新宿区分院(2027年12月開院予定)
三浦メディカルクリニック
【保有資格・所属学会】
医学博士
日本内科学会 認定内科医
日本呼吸器学会 呼吸器専門医
日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医