• 2026年6月27日
  • 2026年6月30日

喘息がある人も舌下免疫療法はできる?アレルギー性鼻炎との関係をわかりやすく解説

「喘息があるけれど、舌下免疫療法は受けられますか?」
「ダニやスギ花粉のアレルギーを治療すると、咳や喘息も良くなりますか?」

外来では、このような質問をよくいただきます。結論から言うと、舌下免疫療法は喘息そのものを直接治す薬ではありませんが、アレルギーが関係している喘息では、症状の安定に役立つ可能性があります。特に、ダニやスギ花粉によるアレルギー性鼻炎を合併している方では、検討する価値のある治療です。

舌下免疫療法とは?

舌下免疫療法とは、アレルギーの原因となる物質を少量ずつ体に取り入れることで、体を少しずつ慣らしていく治療です。薬を舌の下に置き、一定時間保持してから飲み込みます。

日本では主に、スギ花粉症に対する治療と、ダニによるアレルギー性鼻炎に対する治療として行われています。毎日続ける必要があり、数週間で劇的に効く治療ではありません。一般的には、3〜5年ほど継続することで、症状を出にくくしたり、薬の使用量を減らしたりすることを目指します。

抗ヒスタミン薬や点鼻薬、吸入薬は「今ある症状を抑える治療」です。一方、舌下免疫療法は「アレルギー体質そのものに働きかける治療」と考えるとイメージしやすいでしょう。

喘息とアレルギー性鼻炎はつながっています

喘息と鼻炎は別々の病気に見えますが、実は同じ気道のアレルギーとしてつながっています。鼻は上気道、気管支は下気道ですが、どちらも空気の通り道です。そのため、鼻炎が悪化すると咳が増えたり、喘息が不安定になったりすることがあります。

たとえば、ダニアレルギーがある方では、寝室のホコリや寝具のダニに反応して、鼻づまり、くしゃみ、後鼻漏だけでなく、夜間や朝方の咳、息苦しさ、喘鳴が出ることがあります。スギ花粉症の時期に咳や喘息症状が悪化する方もいます。

このような場合、鼻だけを見るのではなく、「鼻と気管支をまとめて整える」視点が大切です。

舌下免疫療法で喘息に期待できること

ダニアレルギーが関係する喘息では、舌下免疫療法により、喘息症状の悪化を減らしたり、吸入ステロイド薬の必要量を減らせる可能性が報告されています。また、鼻炎症状が改善することで、鼻づまりや後鼻漏が減り、結果として咳が落ち着くこともあります。

ただし、ここで大切なのは「舌下免疫療法を始めたから吸入薬をやめてよい」という意味ではないことです。喘息治療の基本は、気道の炎症を抑える吸入薬です。舌下免疫療法は、あくまでアレルギーの原因に働きかける追加治療として考えます。

喘息が安定してから始めることが大切で、自己判断で吸入薬を減らしたり中止したりするのは危険です。

どんな人が対象になりますか?

舌下免疫療法を検討しやすいのは、次のような方です。

アレルギー性鼻炎の症状がある方、毎年同じ季節に咳や喘息が悪くなる方、寝室や掃除の後に咳・鼻症状が出やすい方、薬を使っても鼻炎症状が残る方などで、ダニまたはスギ花粉のアレルギーが検査で確認されている方(CLASS2以上)が対象となります。

「なんとなくアレルギーっぽい」というだけでは開始できません。血液検査で、原因アレルゲンがダニあるいはスギ花粉と確認されていることが重要です。また、症状と検査結果が一致しているかどうかも確認します。検査で陽性でも、実際の症状と関係していない場合があるためです。

喘息がある人は注意が必要です

喘息がある方でも舌下免疫療法を行える場合はありますが、喘息が不安定な状態では注意が必要です。特に、息苦しさが強い、喘鳴がある、発作を繰り返している、最近ステロイド内服が必要だった、呼吸機能が低下している、といった場合は、まず喘息を安定させることが優先です。

重症の喘息やコントロール不良の喘息では、舌下免疫療法が適さないことがあります。アレルゲンを含む薬を体に入れる治療であるため、まれに強いアレルギー反応が起こる可能性があるからです。

開始初日は医療機関で服用し、服用後しばらく院内で様子を見ます。自宅で服用するようになってからも、体調が悪い日、喘息症状が強い日、発熱している日、歯科にて抜歯を行う際などは、服用について医師に相談してください。

副作用はありますか?

比較的多い副作用は、口の中のかゆみ、舌や口の腫れぼったさ、のどの違和感、耳のかゆみなどです。多くは軽症で、治療開始初期に出やすく、続けるうちに落ち着くことがほとんどです。症状が強い場合は一時的に高アレルギー剤を併用することがあります。

一方で、息苦しさ、強い咳、喘鳴、全身のじんましん、顔やのどの腫れ、腹痛、嘔吐、血圧低下感などが出た場合は、強いアレルギー反応の可能性があります。その場合は服用を中止し、すぐに医療機関へ相談してください。

服用前後は、激しい運動、飲酒、入浴などを避けるよう指導されます。これは、薬の吸収や体の反応が強くなる可能性があるためです。

服用のタイミングはありますか?

服用のタイミングは生活習慣によって様々でOKですが服用開始1ヶ月以内は副作用の観点から朝のうち内服することをお勧めしています。予期せぬ副作用が出た場合でもクリニックや病院が開院しているからです。

1)小学生・中学生・高校生

朝のタイミングから始めてください。1時間目から体育がある場合は朝6時すぎには内服するようにしましょう。薬に慣れてきて、特段副作用がなければ夜寝る前に内服のタイミングをずらして頂いてOKです。

2)成人以上

夜にお酒を飲む場合は朝の服用を続けましょう。お酒を飲まない場合は夜でもOKです。

まとめ

舌下免疫療法は、アレルギー性鼻炎だけでなく、アレルギーが関係する喘息にも良い影響が期待できる治療です。特に、ダニアレルギーやスギ花粉症があり、鼻炎と咳・喘息症状が連動している方では、治療選択肢の一つになります。

ただし、喘息がある方では「安全に始められる状態か」を確認することがとても大切です。吸入薬による喘息治療をきちんと続けたうえで、アレルギーの原因に対して舌下免疫療法を組み合わせる、という考え方が基本です。

鼻炎、咳、喘息が長引く方は、「ただの花粉症」「ただの咳」と考えず、アレルギーと気管支の両方を評価できる医療機関で相談してみましょう。

参考文献

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  8. 鳥居薬品株式会社. シダキュアスギ花粉舌下錠 添付文書.
  9. 鳥居薬品株式会社. ミティキュアダニ舌下錠 添付文書.

執筆者情報

佐藤 賢弥(さとう けんや)
医療法人社団南州会 東京品川フロントクリニック 呼吸器内科医師
【保有資格】
日本内科学会 認定内科医
日本呼吸器学会 呼吸器専門医
日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医

井上 哲兵(いのうえ てっぺい)
医療法人社団南州会 フロントクリニックグループ 理事長 / 医学博士
2019年4月に医療法人社団南州会 理事長に就任。
同年8月に三浦メディカルクリニックを開院し、以降も以下のクリニックを展開。
医療法人社団南州会 フロントクリニックグループ(1980年創業)
横浜フロントクリニック(2024年5月開院)
東京品川フロントクリニック(2026年1月開院)
自由が丘フロントクリニック(2026年10月開院予定)
新宿区分院(2027年12月開院予定)
三浦メディカルクリニック(2019年8月開院)
【保有資格・所属学会】
医学博士
日本内科学会 認定内科医
日本呼吸器学会 呼吸器専門医
日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医

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