• 2026年6月27日

「急に足の親指の付け根が激しく痛くなった」「夜中に痛みで目が覚めた」——痛風発作の経験がある方には忘れられない痛みです。

痛風は夏に発作が起きやすい傾向があります。発汗による脱水・アルコール摂取の増加・暑さによる食欲の変化など、夏の生活習慣が尿酸値を上げやすい環境を作るためです。

この記事では、痛風・高尿酸血症が夏に悪化しやすい理由と、内科での管理について解説します。

尿酸は体内でプリン体が分解される際に生成される物質で、通常は尿や便として排泄されます。しかし、尿酸の産生が過剰になったり排泄が低下したりすると、血液中の尿酸値が高くなります(高尿酸血症)。尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態が高尿酸血症の診断基準です。

高尿酸血症が続くと、尿酸が結晶化して関節に沈着します。その結晶に対して免疫が反応することで激しい炎症・痛みが起きる——これが痛風発作です。足の親指の付け根に多く起きますが、足首・膝・手首などにも発症することがあります。

発汗による脱水・尿量の減少
夏は大量に汗をかくため、水分補給が不十分だと尿量が減少します。尿酸は尿から排泄されるため、尿量が減ると体内に尿酸が蓄積しやすくなります。脱水は尿酸値を急激に上昇させる主要な原因のひとつです。

アルコール摂取の増加
夏はビールや冷えたアルコール飲料を飲む機会が増えます。アルコール、特にビールはプリン体を多く含み、尿酸の産生を増やすと同時に排泄を妨げます。また、アルコールには利尿作用があるため、飲んでいるのに体は脱水状態になりやすく、尿酸値が上がりやすくなります。

気温変化による尿酸の結晶化
冷房で急激に体が冷えると、関節周囲の温度が下がり尿酸が結晶化しやすくなります。「冷房の効いた室内でビールを飲む」という夏の定番シーンが、痛風発作の引き金になることがあります。

食生活の変化
夏は食欲が落ちてさっぱりした食事に偏ったり、逆に焼き肉・魚介類を多く食べる機会が増えたりします。プリン体を多く含む食品(内臓・イワシ・アジ・エビなど)の過剰摂取は尿酸値を上げやすくします。

「発作が治まればいい」と放置していると、以下のリスクがあります。

発作の頻度が増える
初回発作から適切な治療を受けなかった場合、発作の間隔が徐々に短くなり、複数の関節に同時に痛みが出るようになることがあります。

痛風結節の形成
尿酸結晶が皮下に蓄積し、関節周囲に硬いしこり(痛風結節)が形成されることがあります。関節の変形や機能障害につながるケースもあります。

腎臓への影響
高尿酸血症が続くと尿酸が腎臓に沈着し、腎機能低下・尿路結石のリスクが高まります。慢性腎臓病との関連も指摘されています。

心血管疾患リスクの上昇
高尿酸血症は高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病と合併しやすく、動脈硬化・心筋梗塞・脳卒中のリスク因子にもなります。

痛風発作は市販の鎮痛薬で一時的に痛みを抑えることができますが、根本的な治療にはなりません。尿酸値を正常範囲に戻し、発作を予防するためには、尿酸降下薬による継続的な管理が必要です。

また、痛風に似た症状(偽痛風・関節リウマチ・蜂窩織炎など)は血液検査・関節液の検査なしには区別が難しいケースがあります。「痛風だと思っていたら別の病気だった」というケースもあるため、採血による正確な診断が重要です。

さらに、高尿酸血症は生活習慣病全体の管理と一体で行うことが重要です。高血圧・糖尿病・脂質異常症を併せ持つ方は、これらをまとめて管理できる内科クリニックへの受診をお勧めします。

水分をしっかり摂る
1日2リットル以上の水分摂取を目標に、こまめに水・麦茶などを飲みましょう。尿量を増やすことで尿酸の排泄を促します。アルコール・ジュース・糖分の多い飲料は尿酸値を上げやすいため注意が必要です。

アルコールを控える
とくにビールはプリン体が多いため、痛風がある方は量を控えることをお勧めします。アルコール全般が尿酸排泄を妨げるため、種類を変えても効果は限定的です。

プリン体の多い食品を摂りすぎない
内臓類・イワシ・アジ・エビ・干し椎茸などはプリン体が多い食品です。これらを毎日大量に食べることは避け、バランスの取れた食事を心がけましょう。

  • 血液検査:尿酸値・腎機能・血糖・脂質などを緊急性がある場合は当日確認
  • 痛風発作時の診察・処方:痛みを抑える薬と発作予防薬の処方
  • 尿酸降下薬による継続管理:発作を繰り返さないための長期的な尿酸値コントロール
  • 生活習慣病の一体管理:高血圧・糖尿病・脂質異常症との併存管理に対応

⚠ こんな方はご受診を
・関節が急に赤く腫れて激しく痛む
・健診で尿酸値が7.0mg/dL以上と言われた
・過去に痛風発作があったが、その後通院していない
・高血圧・糖尿病・脂質異常症を合併している
・夏になると尿酸値が高くなると言われたことがある

痛風発作が起きたらすぐ受診すべきですか?

できるだけ早めの受診をお勧めします。発作初期に適切な薬(コルヒチン・NSAIDsなど)を使うことで、痛みの持続期間を短くできます。また、痛風に似た別の疾患を除外するためにも、診察・血液検査を受けることが重要です。

健診で尿酸値が高いと言われましたが、症状がなければ大丈夫ですか?

症状がなくても尿酸値7.0mg/dL以上が続く場合は、腎臓や心血管への影響があるため管理が必要です。生活習慣の改善で改善しない場合は薬物療法を検討します。まずは内科に相談してください。

ビールをやめれば高尿酸血症は治りますか?

アルコールを控えることは有効ですが、それだけで尿酸値が正常化するとは限りません。食事・水分補給・運動などの生活習慣全体の見直しと、必要に応じた薬物療法の組み合わせが重要です。

目標値はありますか?

一度でも痛風を起こしたことがある方は、正常値が尿酸値7.0mg/dL未満ではありますが、6.0mg/dL未満まで下げそれを維持する必要があります。7.0mg/dL以上で尿酸結晶が関節内に蓄積してきます。一度結晶化したものは6から7mg/dLの間では溶解せずに関節内に残存してしまうことがわかっているのです。薬を始めて尿酸値7.0mg/dL未満になったのに痛風発作を繰り返してしまう人がいるのはそのためです。析出した尿酸結晶は尿酸値6.0mg/dL未満になって始めて溶解し、痛風発作のリスクを下げることができるのです。ですから、一度でも痛風を起こしたことがある方は、6.0mg/dL未満まで下げそれを維持する必要があるのです。

品川で痛風・高尿酸血症を診てもらえる内科はありますか?

東京品川フロントクリニックは品川駅港南口から徒歩30秒にあり、痛風・高尿酸血症の診察・血液検査・処方に対応しています。高血圧・糖尿病などの生活習慣病との一体管理も可能です。

大谷 真理子(おおたに まりこ)

医療法人社団南州会 東京品川フロントクリニック院長 / 医学博士
【保有資格】
医学博士
日本内科学会認定内科医
日本呼吸器学会 呼吸器専門医
日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医


井上 哲兵(いのうえ てっぺい)医師

医療法人社団南州会 フロントクリニックグループ 理事長 / 医学博士
2019年4月に医療法人社団南州会 理事長に就任。
同年8月に三浦メディカルクリニックを開院し、以降も以下のクリニックを展開。
医療法人社団南州会 フロントクリニックグループ(1980年創業)
横浜フロントクリニック(2024年5月開院)
東京品川フロントクリニック(2026年1月開院)
自由が丘フロントクリニック(2026年10月開院予定)
新宿区分院(2027年12月開院予定)
三浦メディカルクリニック

【保有資格】
医学博士
日本内科学会認定内科医
日本呼吸器学会 呼吸器専門医
日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医

参考資料

  • 日本痛風・尿酸核酸学会『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版』
  • 厚生労働省「e-ヘルスネット 痛風」
  • 国立循環器病研究センター「高尿酸血症と循環器疾患」
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