- 2026年7月25日
渡航前に打つべきワクチン完全ガイド|地域・目的別に品川のトラベルクリニック内科医が解説

海外旅行や出張の予定が決まったとき、「ワクチンを打った方がいい」という話は聞いたことがあっても、何をどこで打てばいいのか、いくらかかるのか、出発まで間に合うのかがわからなくて後回しにしてしまう——そういった方は多いと思います。
この記事では、はじめてトラベルワクチンを検討する方でも「自分は何を打てばいいか」がわかるよう、渡航先・滞在期間・目的別に、商品名・費用・接種スケジュールまで含めて具体的に解説します。
なお、東京品川フロントクリニックは品川駅港南口から徒歩30秒に位置するトラベルワクチンセンターを設置しており、ワクチン接種から予防薬の処方・英文診断書の作成まで対応しています。
そもそも、なぜ渡航前にワクチンを打つ必要があるのか
日本国内では感染する機会がほとんどない病気でも、渡航先では日常的に存在するものがあります。たとえばA型肝炎は、屋台の食事や生の野菜・果物・水から感染することがあり、東南アジア・南アジア・アフリカ・中南米では感染リスクが高い疾患です。現地に着いてから「やっぱり打っておけばよかった」と後悔しても遅いのが感染症の怖いところです。
また、ワクチンによっては接種してから抗体ができるまでに2〜4週間かかります。出発ギリギリに打っても効果が間に合わないケースもあるため、渡航が決まったら早めに動くことが重要です。
まずは自分の渡航先・目的に合わせて「何を打つべきか」を確認しましょう。
STEP 1|渡航先で確認する
必要なワクチンは渡航先によって大きく変わります。以下を目安にしてください。
東南アジア(タイ・ベトナム・インドネシア・フィリピンなど)
観光・短期出張(2週間未満)に推奨:
A型肝炎(エイムゲン)|18,700円/回 × 3回
腸チフス(タイフィム Vi)|12,100円/回 × 1回
長期滞在・農村部への渡航にはさらに:
B型肝炎(へブタバックス・ビームゲン)|8,800円/回 × 3回
破傷風(沈降破傷風トキソイド)|6,600円/回 × 1〜3回
狂犬病(ラビビュール)|17,600円/回 × 3回
日本脳炎(ジェービックV)|9,900円/回 × 3回
麻疹・風疹MR(乾燥弱毒生麻しん風しんワクチン)|12,100円/回 × 2回
南アジア(インド・パキスタン・バングラデシュなど)
観光・短期出張に推奨:
A型肝炎 / 腸チフス
長期滞在にはさらに:
B型肝炎 / 破傷風 / 狂犬病 / 日本脳炎 / ポリオ(イモバックスポリオ|12,100円/回 × 3〜4回)/ MR
アフリカ(ケニア・タンザニア・エチオピアなど)
観光・短期出張に推奨:
A型肝炎 / 腸チフス
※黄熱:赤道周辺の国では入国条件。当院では取り扱いなし・専門機関での接種が必要です
長期滞在にはさらに:
B型肝炎 / 破傷風 / 狂犬病 / 髄膜炎菌(メンクアッドフィ|25,300円/回 × 1回)/ ポリオ / MR
※マラリアの予防薬(後述)も必要になるケースがほとんどです
中南米(メキシコ・ブラジル・ペルーなど)
観光・短期出張に推奨:
A型肝炎 / 腸チフス
※黄熱:一部の国では入国条件。当院では取り扱いなし
長期滞在にはさらに:
B型肝炎 / 破傷風 / 狂犬病 / MR
北米・西ヨーロッパ・オーストラリア
感染症リスクは比較的低いですが、以下は確認が必要です。
破傷風:10年ごとの追加接種が推奨されます。最後の接種がいつか確認してください。
MR(麻疹・風疹):接種歴を母子手帳で確認。2回接種が完了していない方は渡航前に接種を。
留学の場合は大学から接種証明書の提出を求められるケースが多いため、早めに確認が必要です。
中東(サウジアラビア・UAE・カタールなど)
渡航に推奨:
A型肝炎 / 破傷風
髄膜炎菌:メッカ巡礼(サウジアラビア)では入国条件
長期滞在にはさらに:
B型肝炎 / 日本脳炎 / ポリオ / MR
STEP 2|出発までの時間で優先順位をつける
ワクチンには「1回打てば効果が出るもの」と「複数回打って初めて効果が完成するもの」があります。出発までの時間によって、打てるワクチンが変わってきます。
出発まで3ヶ月以上ある方
すべてのワクチンをスケジュール通りに完了できます。B型肝炎(完了まで約6ヶ月)を最優先で開始し、狂犬病・日本脳炎・A型肝炎などを並行して進めましょう。
出発まで1〜2ヶ月ある方
狂犬病(3回完了まで3〜4週間)・A型肝炎・腸チフス・破傷風・髄膜炎菌は接種完了できます。B型肝炎は1〜2回目の接種だけ出発前に済ませ、帰国後に続きを接種する方法もあります。
出発まで2週間以内の方
腸チフス(1回)・A型肝炎1回目・破傷風・髄膜炎菌は直前でも接種できます。「全部は間に合わないけれど、できるものだけ打っておきたい」という場合はまずご相談ください。優先度を考えて対応します。
※1週間以内の接種をご希望の方は、事前にお電話(03-6456-5040)で在庫状況をご確認ください。予約制ですが、在庫があれば当日接種も可能です。
STEP 3|各ワクチンの詳細を確認する

当院で接種できる主なトラベルワクチンの詳細です。ワクチン・予防薬の費用のほかに、初・再診料として一律3,300円(税込)がかかります。
※2026/07/24時点で扱っているワクチンの情報です。
A型肝炎|エイムゲン|18,700円/回(税込)
接種回数:3回|接種間隔:0・2〜4週間後・24週間後|有効期間:2回で約1年、3回で約5年
汚染された食品・水から感染する肝炎です。東南アジア・インド・アフリカ・中南米では屋台の食事や生野菜・果物からも感染するリスクがあります。短期旅行者にも最も広く推奨されるワクチンのひとつです。
B型肝炎|へブタバックス・ビームゲン|8,800円/回(税込)
接種回数:3回|接種間隔:0・4週間後・初回から20〜24週後|有効期間:10年以上
血液・体液から感染します。医療行為・性的接触・タトゥー・ピアスなどで感染リスクがあります。完了まで約6ヶ月かかるため、長期渡航が決まったら最優先で開始してください。
狂犬病|ラビビュール|17,600円/回(税込)
接種回数:3回|接種間隔:0・1週間後・3〜4週間後|有効期間:2〜3年
犬・猫・コウモリなどに噛まれることで感染し、発症するとほぼ100%死亡する感染症です。アジア・アフリカ・中南米では野犬が多く、現地の動物に触れる可能性がある方には必須です。接種完了まで3〜4週間かかるため早めの受診を。なお、接種済みでも噛まれた場合は必ず追加の曝露後ワクチンが必要です。
腸チフス|タイフィム Vi|12,100円/回(税込)
接種回数:1回(2歳以上)|有効期間:当院では1年
汚染された食品・水から感染する細菌性疾患で、高熱・腹痛が主な症状です。インド・東南アジア・アフリカへの渡航者に広く推奨されます。1回接種で効果が出るため、出発直前でも対応可能です。
破傷風|沈降破傷風トキソイド|6,600円/回(税込)
接種回数:接種歴による(10年ごとに追加1回が基本)|有効期間:10年
土壌中の細菌が傷口から侵入して感染します。日本では幼少期に定期接種を受けていますが、10年ごとに追加接種が必要です。最後の接種からいつ経つか、母子手帳で確認してみてください。
日本脳炎|ジェービックV|9,900円/回(税込)
接種回数:3回(接種歴がある大人は追加1回でも可)|接種間隔:0・1〜4週間後・1年後|有効期間:3〜4年
蚊が媒介するウイルス性脳炎です。東アジア・東南アジア・南アジアの農村部や水田地帯に滞在する方、長期滞在者に推奨されます。
髄膜炎菌|メンクアッドフィ筋注|25,300円/回(税込)
接種回数:1回(2歳以上55歳以下)|有効期間:5年
サブサハラアフリカ・メッカ巡礼(サウジアラビア入国条件)が対象です。急速に重症化する危険な感染症で、サウジアラビアではビザ取得の条件となっています。
麻疹・風疹(MR)|乾燥弱毒生麻しん風しんワクチン|12,100円/回(税込)
接種回数:2回|接種間隔:0・4週間後|有効期間:20〜30年
感染力が非常に強く、現在も多くの国で流行が続いています。「かかったことがある」「2回接種した」という記憶だけで判断せず、母子手帳で接種歴を必ず確認してください。
ポリオ|イモバックスポリオ|12,100円/回(税込)
接種回数:3〜4回|接種間隔:3週間以上あけて2〜3回・さらに6ヶ月以上あけて1回|有効期間:10年以上
南アジア(インド・パキスタン)・中東への長期滞在者に推奨されます。
マラリアと高山病は「予防薬」で対応する
マラリアと高山病はワクチンではなく、内服薬による予防が中心です。当院では以下の予防薬を処方しています。
マラリア予防薬①|ドキシサイクリン100mg(ビブラマイシン錠)|110円/錠(税込)
現地到着の1〜2日前から服用開始し、流行地を離れてから4週間継続します。光線過敏(日焼けしやすくなる)の副作用が出ることがあります。8歳未満・妊婦は服用できません。
マラリア予防薬②|マラロン配合錠(アトバコン250mg・プログアニル100mg)|825円/錠(税込)
現地到着の1〜2日前から服用開始し、流行地を離れてから7日間継続します。妊婦・授乳婦・5kg未満の乳幼児には推奨されません。
高山病予防薬|アセタゾラミド250mg(ダイアモックス錠)|550円/錠(税込)
高地到着の前日から合計4日間、半錠(125mg)を1日2回(朝・夕)内服します。ヒマラヤ・アンデス・キリマンジャロなどの高地へのトレッキングを予定している方に。
渡航前に準備できるその他のサービス
当院のトラベルワクチンセンターでは、ワクチン・予防薬以外にも以下の対応が可能です。
- 海外持参薬の処方:抗菌薬・解熱鎮痛薬・整腸剤・抗アレルギー薬・経口補液剤など、現地で急に体調を崩したときのための薬をまとめて処方できます
- 英文診断書・紹介状の作成:持病がある方が現地の医療機関を受診する際に必要な書類に対応します
- 渡航前健康診断:渡航先・就労先から健康診断書の提出を求められる場合に対応します
黄熱ワクチンは当院では取り扱いがありません。接種が必要な方は検疫所や指定医療機関にお問い合わせください。また、米国移民・婚約者ビザ申請の健康診断は米国指定医療機関でのみ実施可能なため、当院では対応していません。
受診の目安・タイミング
こんな方は早めにご相談ください
・海外出張・旅行・留学の予定がある
・渡航先で必要なワクチンが何かわからない
・以前接種したが、追加接種が必要か確認したい
・子どもを連れて海外旅行に行く予定がある
・出発まで時間がないが、できる範囲で接種しておきたい
・帰国後に発熱・下痢・発疹など体調不良がある
出発の4〜8週間前のご相談が理想ですが、時間がない場合でも対応できるワクチンから優先して接種します。渡航が決まったら、まずはお気軽にご相談ください。
よくある質問
出発まで2週間しかありません。今からでも間に合いますか?
腸チフス(1回接種)・A型肝炎1回目・破傷風・髄膜炎菌は直前でも接種できます。「全部は無理でも、できるものだけ打っておきたい」という場合はぜひご相談ください。優先順位をつけて対応します。
タイ旅行で何を打てばいいですか?
短期観光であればA型肝炎・腸チフスが基本セットです。長期滞在・農村部への立ち入りがある場合はB型肝炎・破傷風・狂犬病・日本脳炎・MRも検討してください。破傷風は10年以内に接種歴があるか母子手帳で確認することをお勧めします。
費用の目安を教えてください。
すべて自費診療です。初・再診料3,300円(税込)に加え、ワクチンの種類・本数によって費用が変わります。腸チフス12,100円(1回)、A型肝炎18,700円×3回、狂犬病17,600円×3回などが目安です。複数まとめて接種する場合の費用感は受診時にご説明します。
マラリアはワクチンで予防できますか?
日本国内で一般に使用できるマラリアワクチンは現時点でありません。マラリア流行地への渡航では、予防薬(ドキシサイクリンまたはマラロン)の内服が主な対策となります。当院でも処方しています。
品川でトラベルワクチンを接種できるクリニックはありますか?
東京品川フロントクリニックのトラベルワクチンセンターでは、A型肝炎・B型肝炎・狂犬病・腸チフス・破傷風・日本脳炎・髄膜炎菌・MR・ポリオなど主要なトラベルワクチンの接種と、マラリア・高山病の予防薬処方に対応しています。品川駅港南口から徒歩30秒です。

執筆者情報
大谷 真理子(おおたに まりこ)
医療法人社団南州会 東京品川フロントクリニック院長 / 医学博士
【保有資格】
医学博士
日本内科学会認定内科医
日本呼吸器学会 呼吸器専門医
日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医
井上 哲兵(いのうえ てっぺい)医師
医療法人社団南州会 フロントクリニックグループ 理事長 / 医学博士
2019年4月に医療法人社団南州会 理事長に就任。
同年8月に三浦メディカルクリニックを開院し、以降も以下のクリニックを展開。
医療法人社団南州会 フロントクリニックグループ(1980年創業)
横浜フロントクリニック(2024年5月開院)
東京品川フロントクリニック(2026年1月開院)
自由が丘フロントクリニック(2026年10月開院予定)
新宿区分院(2027年12月開院予定)
三浦メディカルクリニック
【保有資格】
医学博士
日本内科学会認定内科医
日本呼吸器学会 呼吸器専門医