• 2026年2月19日
  • 2026年2月25日

品川駅徒歩30秒の内科クリニックの内科医が解説!A1c「6.5%」と「7%」の本当の意味を知っていますか?特にA 1c7.0を超える糖尿病の患者さまは必ずお読みください。

健康診断で糖尿病と診断され、病院受診を指示されたけれども放置している患者さんはいませんか?

健康診断で「HbA1c(ヘモグロビンA1c)」という項目を見たことがある方は多いでしょう。
これは過去1~2か月の血糖値の平均を示す大切な指標です。

糖尿病の診断基準のひとつが「A1c 6.5%以上」。
そして治療ガイドラインでは「7%未満」が目標とされています。

ではなぜ、6.5%を超えると要注意で、7%を超えると危険なのでしょうか?


なぜA1c 6.5%を超えると要注意なのか

A1cが6.5%以上になると、医学的に「糖尿病」と診断されます。

血液中のブドウ糖(血糖)が慢性的に高い状態が続くと、血管の内側が少しずつ傷つきます。
特に影響を受けやすいのが、微小血管と言われる細い血管です。そこに問題が起きることを微小血管障害と言いいます。

微小血管障害が起きた結果、次のような合併症が始まる可能性があります。

  • 目の病気(糖尿病網膜症)→悪化すると失明や視野欠損
  • 腎臓の障害(糖尿病腎症)→悪化すると透析
  • 神経障害(しびれ、感覚低下)→悪化すると立てなくなるくらいの痺れ・痛みを感じるようになる

初期は自覚症状がほとんどありません。
そのため「6.5%」は静かに進む合併症の入り口と考えてください。


なぜA1c 7%を超えると危険なのか

7%を超えると、様々な合併症のリスクが明らかに高くなることが、多くの研究で示されています。

熊本宣言2013 ―あなたとあなたの大切な人のために Keep your A1c below 7%―

2013年の日本糖尿病学会の総会で7%を切る数字であり続けることが何よりも大切という宣言がなされたことが当時話題になりました。

7%以上で推移した場合に特に怖いのは、微小血管障害に続いて引き起こされる、大きな血管の障害(大血管障害)です。

  • 心筋梗塞
  • 脳梗塞
  • 足の血流障害→重症化すると下肢切断

血糖が高い状態は、より血管内皮細胞を損傷しを動脈を硬くします。
A1cが7%を超えた状態が続くと、命に関わる病気の確率が上がるのです。

そのため、多くの医療機関では「糖尿病患者さんが最低でも到達すべき治療目標を、A1c 7%未満」としているのです。(年齢やADL(患者さんの全身状態)によって目標が異なる場合があります。)


糖尿病の治療法

糖尿病治療は大きく分けて

  1. 非薬物療法(生活習慣の改善)
  2. 薬物療法

の2本柱です。


① 非薬物療法(基本であり最重要)

● 食事療法

  • 食べ過ぎを防ぐ
  • 炭水化物の量を適正に
  • 野菜を先に食べる
  • 甘い飲み物を控える

「極端な制限」ではなく、続けられる食事改善が大切です。


● 運動療法

  • 1日30分のウォーキング
  • 週150分程度の有酸素運動
  • 軽い筋トレ

運動は血糖を直接下げるだけでなく、インスリンの効きを良くします。


● 体重管理

体重を5%減らすだけで、血糖は大きく改善します。


② 薬物療法

生活改善だけでA1cが7%未満に届かない場合、薬が必要になります。

主な薬の種類は次の通りです。

● 飲み薬

  • インスリンの効きを良くする薬
  • インスリン分泌を促す薬
  • 糖の吸収を抑える薬
  • 尿に糖を出す薬(SGLT2阻害薬など)

● 注射薬

  • インスリン
  • GLP-1受容体作動薬

最近は体重減少効果や心臓保護効果をもつ薬も登場し、治療の選択肢は広がっています。


大切なのは「数字」より「継続」

A1c 6.5%は「警告サイン」。
7%は「合併症リスクが高まるライン」。

しかし大切なのは、一度の数値ではなく長期間どうコントロールするかです。

糖尿病は「決してコントロールが難しい病気」ではありません。
正しく向き合えば、合併症を防ぎながら健康に長生きできる病気です。

健診でA1cが高めと言われたら、
「まだ大丈夫」ではなく「今が、将来を変えることが出来るチャンス」と考えてください。

早めの行動が、10年後、20年後の健康を守ります。

よくある質問をまとめました。

Q1:A1cが7%を少し超えただけでも、そんなに悪いのですか?

A:すぐに命に関わるわけではありませんが、「放置」が問題です。

HbA1cは過去1~2か月の平均血糖を示します。
7%を超えた状態が長く続くと、目・腎臓・神経などの合併症リスクが高まります。

1回高いだけなら立て直せます。
大切なのは「継続的に7%未満を目指すこと」です。


Q2:薬を始めたら一生やめられないのですか?

A:必ずしも一生ではありません。

2型糖尿病の場合、体重減少や生活改善によって血糖が安定すれば、薬を減らしたり中止できる人もいます。
ただし自己判断でやめるのは危険です。必ず医師と相談しましょう。


Q3:インスリン注射は「重症」という意味ですか?

A:いいえ。体を守るための前向きな治療です。

インスリンは「最後の手段」ではありません。
膵臓を休ませ、合併症を防ぐために早めに使うこともあります。

最近は細くて痛みの少ないペン型注射が主流です。
怖がりすぎる必要はありません。


Q4:甘いものを完全にやめなければいけませんか?

A:完全禁止ではありませんが、「量と頻度」が重要です。

問題なのは「毎日たくさん」です。
特別な日に少量を楽しむのは可能な場合もあります。

血糖値を安定させるためには、

  • 空腹時に甘いものを食べない
  • 食後すぐに軽く体を動かす
    といった工夫も有効です。

Q5:症状がないのに治療は必要ですか?

A:はい。症状がない今こそ治療が重要です。

糖尿病は「サイレントキラー(静かな病気)」とも呼ばれます。
自覚症状が出る頃には、合併症が進んでいることもあります。

目の合併症(糖尿病網膜症)や腎症は、初期はほとんど症状がありません。
だからこそ、症状がなく数値のみが高いうちから対策することが大切なのです。

糖尿病の症状が出始めてからの治療では、ADLの極端な低下を阻止することが出来なくなることがあるのです。


執筆者情報

大谷 真理子(おおたに まりこ)

医療法人社団南州会 東京品川フロントクリニック院長 / 医学博士
日本呼吸器学会 呼吸器専門医

【保有資格】

  • 医学博士
  • 日本内科学会認定内科医
  • 日本呼吸器学会 呼吸器専門医
  • 日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医

井上 哲兵(いのうえ てっぺい)医師

医療法人社団南州会 フロントクリニックグループ 理事長 / 医学博士
日本呼吸器学会 呼吸器専門医

2019年4月に医療法人社団南州会 理事長に就任。同年8月に三浦メディカルクリニックを開院し、以降も以下のクリニックを展開。

  • 横浜フロントクリニック(2024年5月開院)
  • 東京品川フロントクリニック(2026年1月5日開院)
  • 目黒区分院(2026年9月開院予定)
  • 新宿区分院(2027年12月開院予定)

【保有資格・所属学会】

  • 緩和ケア研修会修了医
  • 医学博士
  • 日本内科学会認定内科医
  • 日本呼吸器学会 呼吸器専門医
  • 日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医
  • 日本医師会認定産業医
  • 厚生労働省認定 臨床研修指導医
  • 身体障害者福祉法第15条指定医(呼吸器)
  • 難病指定医(呼吸器)
東京品川フロントクリニック 03-6456-5040 ホームページ